僕は、君が好きです。
「そうだよ…

渋谷くんといい、仲原くんといい…

真凛は、いっつも守られて

誰かが助けてくれるのを

ただ待ってるだけじゃない。

さっきだってさ

美沙達に何も言い返せないし。

結局…仲原くんに助けられたじゃない。」

「泰詩が…?」

…助けてくれた?

「…わからなかった?」

「………うん」

「信じられない…

仲原くんがあんなミスを

するわけないよね?」

「…あっ」

泰詩…そうだったの?

「はぁ…

もうイライラするよ真凛見てると…

何でこんな子が…

私の方がよっぽど…

あのさ…私達ね、付き合ってるの!

だから、お願いだからもう…

仲原くんを困らせないであげて?」

そう言って絵莉ちゃんは

私の前で両手を合わせた。

「嘘…」

「嘘じゃないよ?」

絵莉ちゃんは

ニッコリ笑いながら私の顔を見る。

「…何で…

そんなの…嘘だよ…!」

「だから、嘘じゃないよ?

それに真凛言ったよね…

私の事を応援してくれるって…。」

目の前がグルグル回りだして

絵莉ちゃんの顔が歪んで見える。

絵莉ちゃん…

私の事…

ずっとこんな風に思ってたんだ。

友達…

そう思ってたのは私だけだったのかな。

泰詩と付き合ってるって…?

信じたくない…

嘘…だ。

信じない…。

嘘、嘘、嘘…嘘…。

「私…信じない…。」

そう言うと私は走り出して

カラオケボックスから

出て駅に向かっていた。

駅に着いて…

ようやく少し落ち着くと

自分がカバンも

コートも全てカラオケルームに

忘れてきた事に気がついた。
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