僕は、君が好きです。

「…あっ」

佐伯くんの言葉に思わず声が漏れる。

私も泰詩にずっと嘘ついてた…。

本当は泰詩の事好きなのに

違うって言ってたから…。

じゃあ…泰詩の嘘って…？

さっきの冷たい表情も…

絵莉ちゃんと付き合うって言うのも

全部、嘘…？

どうして…

どうしてこんな嘘つくの？

やっぱり…私の為に？

守るために…嘘ついたって事？

「何で…こんな事するの？」

「何でだか…わからない？」

佐伯くんが真剣な表情で

私の顔をじっと見ている。

もしかして…絵莉ちゃん達の事…知ってる？

「…知ってるの？」

「何が？」

「私と…絵莉ちゃん達との事…」

「うん…」

「泰詩も？」

「…知ってるよ。」

そんな…何で…っ

「えっ、どうして？何…どこまで？」

何で知ってるの？

「ごめん…

実はこの前、真凛ちゃんが

女子から嫌がらせされてるとこ

見ちゃったんだ…

だから泰詩…

どうしたらいいのか考えたんだと思う…

俺には何も言わないけどさ

泰詩が何をしたいのかはわかった…。

だって最近の泰詩、変だから…

真凛ちゃんをわざとらしく無視したり

失敗するふりして助けたり…

今日だって追いかけたいの我慢してさ…っ。

真凛ちゃんがいなくなってから…

時計ばっか見てんだよ…スマホ見たり…

本当にバカみたいにカッコつけて…

気にしてない振りして…

何かさぁダサダサだよね…。」

佐伯くんは、少し冗談ぽく話していたけど

泰詩の事を本当に心配しているのが

伝わってくる…。

「…ごめんなさい…」

謝る事しかできない私…

また頭の中が混乱していく。

泰詩…また私の為に…

こんな嘘までついて…

私の事を守ろうとしてくれてる。

私は、昔からずっとずっと

守られてばかり。

泰詩は大変な役ばっか…。

「…真凛ちゃん？」

佐伯くんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「…佐伯くん…教えてくれてありがとう…。」

私は、佐伯くんの顔を見上げながら

泣きそうな気持ちを必死に抑えていた。

「…あのさ俺…やっぱこんな事止めるように

泰詩に言うから…そしたら…っ」

「あのっ！」

佐伯くんの言葉を私は、遮った。