僕は、君が好きです。

その教室中に響くような笑い声で

一斉に隆司に視線が降り注いだ。

「アハハッッッッ！

何これ～？怖いんだけど…っ！！

何で女子達そんなに必死なの？」

隆司が笑いながら女子を見る。

「はぁ？！

…佐伯くんは関係ないでしょっ、

今は絵莉と仲原くんの話なんだからっ！」

女子が必死に隆司に言い返しながら

また騒ぎだす。

その騒ぎ声をかき消すような声で隆司が

話し出す。

「うん、関係ないよ。

でも…そしたら

ここにいるヤツら全員部外者だよねー？

お前らこそ、ぎゃあぎゃあうるせーんだよ。

泰詩と岸田ちゃんの事だろ…

付き合う別れるは当人同士の問題だろ。」

隆司はいつもみたいに笑ってなかった。

その声はあまりに冷静で

少し凄みさえ感じた。

隆司の様子に今まで騒いでいた女子が

静まり返っていた。

「それでも…私は黙ってられない。

だって…市ノ瀬さんは嘘つきじゃない…！！」

「…美紗！」

岸田さんが田所さんを制止しようとするのを

振り切って田所さんは俺の前に進むと

俺の顔を見上げた。

「え、嘘つきって…？」

「そうだよ、だって…

私達に仲原くんの事、ただの友達だって…

何とも思ってないって、そう言ったんだよ？

それなのに…

ずっと仲原くんにベタベタしてて

それで渋谷とも付き合ったり…

全然理解できない…っ！

いつも男子に色目つかってるじゃんっ。

ちょっと可愛いからって…

本当にイライラするっ。」

それを聞いてクラスの男子が騒ぎ出した。

「田所～っっ！コワッ！

怖すぎだろ～女子、マジで怖いなぁ～

市ノ瀬さん、可哀想～っ！」

「市ノ瀬さんが可愛いから嫉妬かよ～

お前ら見苦しいぞ～！」

「おーいっ、仲原～！

イケメンも大変だなぁ～モテモテじゃんっ

まとめて付き合ってやれば？」

クラスがあまりにも騒がしくて

他のクラスの連中も流れ込んできていた。

ガンっっ！！！！！！！！！！！！

鈍い音が教室に響く。

見ると渋谷が蹴りあげた机が

倒れていた。

「…うるせーよ、外野は黙っとけ…

市ノ瀬がいない時に

話を勝手に進めるんじゃねーよ。

仲原、市ノ瀬は？」

渋谷がイラついたような口調で俺を見る。

クラスの視線が俺に戻ってくる。

「…真凛は…」

さっきの真凛の姿が浮かんでくる。

"私の事は忘れて"

そう言って背を向けた真凛…

俺にできる事は…

真凛を迎えに行く事だ。