僕は、君が好きです。
振り返ると、真凛の一つ上の姉の

花怜(かれん)さんが立っていた。

「あれ??

今日は病院に行くんじゃなかったの?」

「うん、体調いいからお昼前に学校きたの。」

「そうなんだ、よかったね!

今から帰るの?」

「うん…部活してないからね。」

花怜さんは、そう言うと

真凛と良く似た瞳で笑った。

彼女は昔から体が弱くて学校を休みがちだ。

けどいつも明るくて、そして優しくて…

彼女が笑うとそれはまるで

綺麗な花を見てるみたいだった。

「そうだ!今からテニス部の見学

行くんだけど

お姉ちゃんも行こーよ!」

「えっ?テニス部?」

「今ね、泰詩と行くとこなんだ。」

「う~ん」

「蒼太くんもいるし~!」

「蒼太くん…テニス部だもんね。」

そう言った花怜さんの顔が

嬉しそうだった。

「泰詩いいよね?」

「ああ、一緒に行きます?」

「じゃあ、行こうかな…。」

そう言うと花怜さんは

ニコッと笑って真凛を見た。

この姉妹は本当に良く似てるな…。

花怜さんの方が真凛より背が高くて

顔が大人っぽいけど

二人とも瞳を見てると

吸い込まれそうになる。

「じゃあ、三人で行こー!」

真凛の明るい声とは反対に俺は

少し重い気持ちを引きずりながら

テニスコートに向かった。

あのさ真凛…もしも俺が

好きだって言ったら…どうする?

君はもう今みたいに笑ってくれない?

それとも笑って頷いてくれる?

どうなるんだろう…。

でも…やっぱ一番に考えてしまうのは

君を失いたくない…って事だけ。

俺は…

真凛の笑った顔をいつも見ていたい。

真凛に笑っていてほしい。

ずっとそうだった…。

"君が笑うと僕の胸の奥が弾むんだ"

いつも、いつも…そうだったんだ…。

隣にいるだけでずっと特別だった。
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