僕は、君が好きです。
帰り道…

真凛が親と一緒に帰ったから

俺は兄貴に今日の事を確かめたくて

二人で帰った。

「なぁ、兄貴…」

「うん?」

「花怜さんのことどう思ってる?」

「………」

「なぁ…」

「どうって…大切だよ?」

「どういう意味で?」

「そのまんまの意味だよ。

大切だし大事にしたい存在。」

「真凛の事は?」

「真凛ちゃん?何で?」

「真凛の事も同じかって事だよ。」

「真凛ちゃんと花怜は比べるものが違う。」

「それって…」

「俺は、花怜が好きだから。」

「もしかして花怜さんと付き合ってる?」

「付き合ってる。」

マジかよ…。

「嘘だろ…知らなかった…。いつから?」

「中2からかな。」

「はぁ?なんだよそれ」

そんな前から…

じゃあ、真凛はどうなるんだよ。

真凛は知らなかったんだぞ?

「悪い。」

「真凛は、兄貴の事好きなんだよ!

どうするんだよ…!」

真凛を傷つけたくない…っ。

「でも、どうしてやる事もできないよ。」

「……!」

「それより、泰詩はそれでいいのか?」

「えっ?」

「好きなんだろ、真凛ちゃんの事。」

俺は、顔が一気に熱くなった。

「何で知って……!」

「そんなの見てればわかるから。」

「何でわかるんだよ…。」

「ハハ!わかるよ。いつもあの子を

いとおしそうな目で見つめてるだろ?」

「見つめてなんかねーしっっ!」

「恥ずかしがるなよ。(笑)」

いや、恥ずいだろ、どう考えても。

「でも本人は全然気がつかないよ。」

「かもな、真凛ちゃんも天然だしな。

けっこう幼い所があるから

ちゃんと言わないとわからないぞ。」

「そんなこと言っても……。」

「ぼやぼやしてると誰かに取られるぞ~。」

「うるせー。」

「俺は兄貴みたいに大人じゃねーから

いつも余裕ないし……。」

「大人かぁ…

そんなこともないんだけどな…。

それに余裕なくなるのは

好きな子なら当たり前だから安心しろ。」

兄貴は、笑いながら俺を見た。

「けど……俺は余裕が欲しいよ。」

俺が下を向いていると兄貴は

俺の肩をポンと叩いた。

「それに俺は、真凛ちゃんは

泰詩が好きなんだろうと

思ってたけどなぁー。」

「はっ?」

「違ったか?」

「からかうなよ、真凛は…。」

俺の事…好き…?

「なぁ、自分の気持ちを

隠していいことなんてないぞ?」

「大事なのはお前の気持ちだろ。」

「…………」

そんなことわかってるんだよ。

わかってるけど

俺にはまだ…

どうしたらいいかわからないんだよ。

気持ちばっか焦る……
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