僕は、君が好きです。
どのくらいたったのか……

窓から光が射し込んでいた。

「朝…。」

全然眠れなかった…。

「学校行かなくちゃ…。」

鏡を見ると、目が真っ赤に腫れていた。

ひどい顔…

でも、泰詩に謝りたい。

とにかく、顔を洗って支度しないと。

そう思って立ち上がった瞬間

何かがベッドの上から落ちた。

「あっ…これ…。」

それは昨日泰詩が作ってくれた

勿忘草の指輪だった。

水分を失った青い花びらは

もう元気がなかった。

私はその勿忘草の指輪を

数学のノートにはさんで閉じた。

「謝らなきゃ…。」

泰詩に会わないと…。

いつも通りの時間に家を出たけど

泰詩はいなかった。

泰詩に追い付こうと

急いで駅に行ったけど

泰詩の姿はなかった。

結局、学校に到着してしまった…。

下駄箱を見ると

泰詩が上履きを履いている所だった。

「泰詩…!」

勇気を出して泰詩に近づいた。

「あの…泰詩…。」

泰詩は私を一瞬みてまた顔を戻した。

「泰詩…。」

「何?」

驚くほど冷たい声で背中が寒くなった。

「あのね、話を聞いてほしいの。」

泰詩の私を見る目がいつもと違う…。

冷たくされるのは慣れてるはずなのに

こんな風に冷たい目は初めてだった。

泰詩…。

「………」

私たちは、階段下に歩いてきた。

「話って?」

泰詩…私の事見てくれない。

泰詩はずっと目を伏せている。

「あの、昨日の事なんだけど…。」

「悪い…。」

「えっ?」

「もうその話しはやめよう。」

「泰詩?」

「もう…俺にかまうな…。」

そう言うと泰詩は、行ってしまった。

「泰詩…待って…。」

「待って…。」

私の声に泰詩は一度も振り返らなかった。

…泰詩が私の前からいなくなっちゃった。

最後まで私の顔、見なかった…。

ポロポロ涙がこぼれてきた。

「ウック、ヒック…」

私は立っていられなくて

崩れ落ちるようにして泣いた。

キーンコーンカーンコーン

一時間目の予令が鳴ったけど

動くことができずに泣いていた。
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