僕は、君が好きです。
駅の改札を出ると

佐伯くんと私で泰詩の後ろを

少し離れて歩いた。

泰詩の横を通りすぎる女子高校生達が

泰詩を振り返って見ているのに気がついた。

「何、今の人…めちゃカッコよくない?」

「うん、どこの高校かな…?」

女子高校生が私の横を通りながら

話しているのが聞こえた。

カッコいいかぁ…そうだよね。

泰詩ってやっぱモテるんだ…。

泰詩の後ろ姿…

後ろ姿からでも足が長い事がよくわかる。

泰詩ってスタイルいいんだなぁ…。

身長また伸びたんじゃない?

夏服になって白い半袖のワイシャツに

水色と青のチェック柄のスラックス。

紺色の少し目の荒い夏物のニットベスト

が白のワイシャツによく合っていて

泰詩をより一層爽やかに見せている。

泰詩…

こんなに背が大きくなって、肩幅も背中も…

なんか男の人だ…。

ずっと一緒にいたのに

ずっと私の隣を歩いてくれていたのに

今は、いない…。

私…泰詩が男の人だって

そんな当たり前の事すら

全然気が付かなかったよ…。

泰詩はいつだって私のすぐ隣にいたのに。

「真凛ちゃん!」

「え…?」

隣で歩いていた佐伯くんの方を

私が振り向くと

佐伯くんが私の顔を真剣な顔で見ていた。

「真凛ちゃん今何考えてた?」

「え?」

「当ててあげようか。」

「……」

佐伯くんは私の顔を覗き込んだ。

「別に…何も考えてないよ?」

「ふーん…そっか…。」

佐伯くんは何か

見透かした様な顔をしていた。

「じゃあ、俺はこっちだからまたねー。」

そう言うと私に手を振って

前を歩いてた泰詩の肩をポンと叩いて

右に曲がって走って行った。
< 51 / 212 >

この作品をシェア

pagetop