僕は、君が好きです。
角を曲がると泰詩は

家の門を開けるところだった。

「泰詩!」

私は、とっさに名前を呼んでいた。

「何だよ…渋谷は?」

泰詩は怒っているようで

その瞳の奥に少し冷やかな物があり

いつもの私の好きな目とは少し違っていた。

「あっ、そこで別れたの。」

「あそこで渋谷と何してたの?」

「何って?」

「言いたくないなら別にいいよ…

そっか…

渋谷とうまくいってんだ…。」

「………」

何で…そんな事言うの?

「やっぱ渋谷が好きなんだな…。」

「まぁそうだよな…

キスするくらいだもんな…。」

///////////////!!

顔が一気に熱くなる。

本当は違うよって言いたのに…。

「そんなの…

泰詩に関係ないでしょ!

私が誰とキスしたって…っっ

泰詩はいい感じな子がいるんだから。」

そう言って泰詩の顔を見ると

私は、すぐに後悔した。

だって…

泰詩はさっきと違って今度は

とても悲しい顔で

ずっと私を見つめていたから。

「悪い…

そうだな…関係ないな。」

「泰詩…。」

「俺にはいい感じな子がいるしな…。」

ズキッ…

まただ…。

私の中で知らない何かが湧いてきて

どんどん埋め尽くしていく。

胸が締め付けられるように

苦しくなってくる。

「そっ、それって…どんな子なの?」

私…泰詩が誰かを好きなの

"嫌だ"って思ってる。

「あっ、あのね…

絵莉ちゃんが気になってたから…」

違う…

本当は私が知りたい…。

泰詩は私を真っ直ぐ見つめながら言った。

「俺の好きな子は……

笑顔がとっても可愛い子で

その子のためなら何でもしてやりたくて

ずっと一緒にいたいって思ってる…。

そばにいるといとおしくて

しょうがない…よ。

俺にとって世界一可愛い子だから。

でも…真凛には関係ないよな…

渋谷がいるし…

俺と真凛はただの友達…だもんな。」

頭がくらくらする。

なんだか頭を殴られたみたいに

ドシンという衝撃をうけた。

「…じゃあな。」

泰詩が家に入ってからも

私はずっと動けずにいた。
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