僕は、君が好きです。
小さい頃から二つ上の兄貴は

成績優秀、スポーツ万能

背も子供の時からずっと高くてイケメン。

それでいて性格も良くて

誰にでも優しくて、弟の俺にも…。

そんな兄貴の存在は、プレッシャーだったし

周りからいつも

比べられて正直ウンザリだった。

だけど…

そんな兄貴に追い付こうと

俺はずっと努力してきた。

それは…

「泰詩~‼おはよう!」

門を開けると

いつものように真凛が待っていた。

「オッス…」

「何?どうしたの~?朝から元気ないね。」

「あっ!蒼太くんは?」

「朝練。」

「そっかぁ…残念~‼」

「またはじまった。」

「え?何が?」

「真凛の蒼太くんは?病。」

そう、俺が兄貴に

追い付こうとしている理由…。

それは…真凛が兄貴の事を慕ってるから。

俺は兄貴に負けたくない…。

負けられない…。

ずっとそう思って頑張ってきた。

そしたら…

いつか君が俺を見てくれる気がして。

それに…

真凛は兄貴の事本気ではないと思う。

たぶん……憧れ?

……だと思いたいけど

本当の所はわからない。

けど、真凛がいつも兄貴の事

楽しそうに話す度に

俺は自分の気持ちを押し込めてきた。

「泰詩、部活決まった?

中学と同じにするの?」

「まだ決まってない。」

「じゃあさ!」

「やだ!」

「まだ何も言ってないよ。」

「いいや、真凛の言うこと想像つくから。」

真凛から兄貴の話を聞きたくない…。

でも真凛が兄貴の事で

俺を巻き込むクセは相変わらずだ。

「ねぇ~おねが~い。」

「兄貴と同じ部活とかありえない。」

「私、一人じゃ寂しいし~。」

「そんなん、女友達誘えよ。」

「まだ、そんなに親しい人いないよ~。」

「作るチャンスだな!」

そう言うと俺はガッツポーズして見せた。

真凛が少し口を尖らせて俺を見た。

「蒼太くんきっとテニス部の

エースなんだろうね。」

「当たり前。」

「そうだよね~でも

練習は男女一緒じゃないもんね。」

「まぁ、普通そうだろうな。」

「じゃあ、泰詩と部活一緒でも

別々なのかぁ…。」

真凛は少し寂しそうな素振りで俺を見上げる。

「……」

なんだよ…。

そのしょんぼりした感じ。

もしかして…俺といたいの?

付き添い的ポジションじゃなくて?

そんな風にされたらさ…。

「あーっっ!たくっ!見学だけな。」

「いいの?本当に?」

「だから、見学だろ。」

「やったぁ!うれしーい!」

だからその可愛い笑顔はやめろ…。

昔からそうだ…。

俺は真凛の笑顔に弱い。

真凛の笑顔がみられるなら

なんでもしてやりたくなる。

真凛は、笑いながら俺の腕にしがみついて

腕を絡めてきた。

そしてじーっと顔を覗き込んでくる。

真凛は何の気なしにこんな風に

スキンシップをしてくるから

俺はいつもドキドキするけど

「なんだよ。」

俺はそれを必死で隠している。
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