僕は、君が好きです。

3章②ー泰詩~ただ、君がいるだけで僕は~vol.20

~泰詩side~

‘’私と泰詩はただの友達だもんね?

泰詩の気持ちがわからないよ‘’

昨日の真凛の言葉が頭の中を

グルグル回っていた。

あの後…真凛を追いかけられなかった。

けど…今朝どうしても話したくて

真凛の家の前で待っていると

「泰詩くん?」

顔を上げると花怜さんが

門を開けて出てくる所だった。

「どうしたの?」

「あれ?真凛は?」

「真凛はもう行ったみたいだけど…。」

「え?…」

「今、二階から泰詩くんが見えたから

もしかして…

真凛を待ってるのかと思って…。」

花怜さんはそう言うと

心配そうに俺を見ていた。

「ごめんね…泰詩くん。」

「いえ…大丈夫です。

それより今日体調は大丈夫ですか?」

「うん…今から病院行くんだ。」

花怜さんが俺にニコッと笑った。

その笑顔は真凛が笑った様に感じた。

真凛が俺を避けている…。

こんな風に避けられると

やっぱりヘコむ…。

「じゃあ、俺…いきます。」

そう言って俺は歩き出した。

その時…ガチャっと門を開ける音がした。

「あれー、泰詩くんじゃない。」

「ママ!」

花怜さんが驚いた声を出した。

「花怜…

もうタクシーくるから支度しなさいね。」

「うん…わかった。」

花怜さんが答えると

真凛のお母さんは俺を見る。

「泰詩くん…!最近見ない間に

こんなにカッコ良くなっちゃって!

家にもまた昔みたいに遊びにきてね。」

そう言うとニコッと笑った。

その笑った顔は…

やっぱり真凛によく似ていた。

「はい…ありがとうございます。」

俺はお辞儀をして歩き出そうとした。

「そう言えば、真凛…

この前泣いて帰って来たんだけど

泰詩くん知らない?

あの子に理由聞いてもね

全然言わないのよ…。」

「え?…」

俺は驚いて振り返ると

「ママ!真凛に怒られるよ!」

花怜さんが慌てた様な声を出した。

「何でよ?

泰詩くんと仲良いから聞いたのよ…。

知ってたら教えてほしいじゃないの。」

「ママは心配なのよ。」

「もー!止めなさいよ…。」

花怜さんが呆れていた。

「それっていつですか?」

「多分先週の土曜日かしらね?

友達と図書館に行った日だったから…。」

「それって…」

あの日…真凛と別れた後だ。

「すみません!急ぐんで行きます。」

そう言うと俺は走り出した。

なんだよ…真凛

何で泣いてたんだよ?










< 81 / 212 >

この作品をシェア

pagetop