僕は、君が好きです。
その日部活が終わると

「なぁ、泰詩…」

隆司が真面目な顔で俺を見てきた。

「何だよ、マジな顔して。」

「真凛ちゃんに告白したの?」

「え?…まだだけど…。」

「何だよ!まだしてないのかよ…っ。

今朝の感じだとてっきりさぁ…

もう、うまくいったのかなぁー

なんて思っちゃったよ。

もぉ~俺ってキューピッドじゃんって

思ってたのに。」

「え?何で?」

「だから!

この前、お前と真凛ちゃん

揉めてたみたいだからいい具合に

アシストしといたんだよっ。」

「あ、そうなのね…。」

「もう、なんだよぉ~!

あんなに公衆の面前で

イチャイチャしといてぇ…しかも

真凛ちゃんとエスケープして

隣のクラスの男子が泣いてたぞっ。」

「いや…そう言われても…。

イチャイチャなんかしてねーよ…

真凛とはいつもあんな感じだから。

真凛は、近いんだよ。」

「はぁ?マジかっ!

なんだその羨ましすぎる関係は!」

「最近は色々あったから、

距離が離れてたけど…基本、真凛は

俺との至近距離近いから…。」

「いやいやいや、真凛ちゃん…

無防備っ!もう付き合ってるじゃんっ!

真凛ちゃん…ってスゲーな…。」

「真凛はいつもあんなだよ…。

いつも俺を見て笑うんだ。

いつも…いつも。」

「そりゃあ~好きになっちゃうよな。」

「うん…。」

「あれ?本音出た!

何か今日は、素直じゃん。」

「うるさい…っ!」

そう言うと俺は少し赤くなった。

「真凛ちゃんさぁ渋谷と別れたんだろ?」

「はっ?そうなの?」

「え?聞いてないのかよ!」

「聞いてねーよ…

そんな事、直ぐに聞けないだろ。」

「俺は別れたと思うけどね…。

なんで別れたと思う?」

「なんでって…。」

「真凛ちゃんは自分の気持ちに

気がついたからじゃないの?」

「……。」

それってこの前、真凛が言った

‘’泰詩の事が気になる‘’

‘’泰詩の気持ちがわからないよ‘’

あれはやっぱり

俺の事好きってことか?

「真凛ちゃん…泰詩に言ったんだろ?

泰詩の事が気になって

泰詩の気持ちがわからないって…。

それってさぁ…

泰詩の事が好きで

自分の事をどう思ってるか

知りたいって事だろ…!

あとさぁ…真凛ちゃんが

ベタベタする男は泰詩だけじゃん?」

「…えっ?」

「悲しいかな…

俺とはかなり距離とってるよ…?

だから…泰詩は、特別枠なんだろ?

誰でもいい訳じゃないって事…。」

隆司が俺の胸をグーでタッチした。

「隆司…サンキュー

お前の言葉…

初めてためになったわ…。」

「ひでーなっ!! 」

俺は隆司の顔を見て、笑った。
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