僕は、君が好きです。

3章③ー真凛~私は嘘つき~vol.21

~真凛side~

泰詩と仲直りできてよかった。

ちゃんと泰詩に謝れてよかった。

明日はもっと泰詩と話ができるかな…。

泰詩が好き…。

昨日は、昔みたいに素直な気持ちで

泰詞の隣にいられた。

ただ、傍にいるだけで嬉しくて…

楽しくて…。

だから私…

泰詩が他の誰かを好きでも…

泰詩が好き。

もし、泰詞が…

私の事好きって言ってくれたら

そしたら私…

ずっとずっとあなたの傍にいて

笑っていられるのに…。

部活の練習の準備をしながら

私は泰詩の事を考えてた。

「真凛…」

急に後ろから名前を呼ばれた。

振り返ると洗濯物を抱えた

絵莉ちゃんが立っていた。

「あっ、絵莉ちゃん洗濯?」

「うん、皆のタオル洗濯しとくように

先生に言われて…。」

「私も手伝うよ。」

私が洗濯かごを持とうとした時…

「真凛…仲原くんの事好きじゃないよね?」

絵莉ちゃんは私の顔をジッと見ながら

私に聞いた。

「えっ?」

「応援してくれるんだよね?」

絵莉ちゃんは私を見たまま聞いてくる。

「私…」

自分の気持ち言わなきゃ…。

そう思いながら絵莉ちゃんを見ると

絵莉ちゃんの肩に目がいった。

絵莉ちゃんの肩は少し震えてた。

そして私が黙っていると

絵莉ちゃんは続けて話し出した。

「あのね、私…

中学校、渋谷くんと同じだっんだ…。

渋谷くんテニス強くてさぁ

私応援行った事あるの…。

そのテニスの大会でね

はじめて仲原くんを見たの…。

仲原くん、テニスすごく強くて…

カッコ良くて…

それからずっと好きだったの。

だから同じ学校なのが嬉しくて…。

話してみたらちょっとそっけないけど

本当はすごく優しくて…

そしたらもっと好きになってた。」

絵莉ちゃんは絞り出すような

小さい声だったけど

はっきり私を見つめながら言った。

絵莉ちゃん…

泰詩の事すごく良く見てたんだ。

泰詩の良いところもちゃんと知ってる。

私も泰詩が好き。

けど…

泰詩が言うように私は鈍いなぁ…。

絵莉ちゃんが泰詩を好きなの

言われるまでわからなかったんだから。

さっき絵莉ちゃんの気持ち知ってたのに

皆が見てる前で泰詩とあんな風に話して…。

絵莉ちゃんの事を傷つけた。

渋谷くんの事も傷つけた…。

渋谷くんと別れたばっかりなのに

もう泰詩の事ばかり考えて…。

泰詩にもちゃんと自分から謝れなくて

私はいつもいつも自分の事ばかり…。

泰詩の好きな人って?

今そんなの考えても答えなんて出ない…。

けど…

それより私は目の前のこの子を

傷つけてはいけないんだ。

傷つけられない…。

「絵莉ちゃん…私…応援するよ。」

胸の奥がズキンッとする。

ズキンズキン…

「ありがとう…。」

絵莉ちゃんが少し安心した顔を見せた。

この時の私は絵莉ちゃんの顔を

ちゃんと見ることができなかった。

私の好きは…

きっと大丈夫になるから。

今は無理でも大丈夫になる…。

泰詩への気持ちも

蒼太くんの時みたいに…。
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