僕は、君が好きです。
「俺はずっと真凛が好きだ…。

気になる子なんて隆司の嘘だから…。

真凛が好き。

自分でもおかしいほど好きだ。」

そう言って泰詩は私の顔を見つめた。

えっ…嘘…?

泰詩の好きな子って私…っ?

じゃあ、この前言ってた好きな子って…

私の事…。

別の誰かを

好きになったんじゃなかった…

…よかったぁ…。

ポロポロ…

気がつくと私の目から涙が溢れていた。

ホッとした気持ちと

嬉しい気持ちが

どんどん沸き上がってくる。

泰詩の好きが嬉しい…。

友達じゃない好きがこんなに嬉しいって

生まれて初めて知ったよ…。

「真凛…?」

泰詩が心配そうな顔で私を見つめている。

大好きな気持ちが溢れだして

泰詩の腕を掴もうと手を伸ばした。

‘’私、仲原くんの事ずっと好きだったの‘’

‘’応援してくるよね?‘’

絵莉ちゃん…。

掴みかけたその手が止まる。

「…………。」

「真凛?何?」

泰詩が私を心配そうに覗き込んだ。

私も…

ずっとずっと泰詩が大好きだったよ。

そう言えたらどんなにいいだろう。

けど私、決めたんだ。

この好きを大丈夫にしなきゃならない。

私は気持ちをおし殺して声を絞り出した。

「私の好きは

泰詩の好きとは違う……。

私は泰詩の事、好きじゃない。」

胸が締め付けられて苦しくなる…。

決めた事なのに……苦しいよ。
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