君が笑ってくれるなら
ウェイターが注文を取りにくると、結城はメニューを広げ、手慣れた様子で注文を済ませた。

──コンツェルンは兄が継ぐ。俺の家業を知ってる奴は少ないな。色眼鏡で見られたくないんだ。まあ、親父か兄が事業に失敗して経営が傾くか、親父か兄に万が一、何か起きれば他人事ではないけれど

「実力で勝負したいってことですよね。結城さんらしいですね。いざと云うときは頼りにされてるんですよね」

結城は百面相のように変わる和泉の表情を見つめ、フッと笑みを零した。

──親には感謝している。習い事も留学も、親の財があればこそできたことだからな。さすがに商社にも、習い事関連にも進まなかったのはかなり、咎められたが

「習い事って、何を習ったんですか」


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