君が笑ってくれるなら
──書道、茶道、華道、ピアノ、ヴァイオリン、剣道、水泳、スケート、留学先の大学では経営を学んだ。サークルはパソコン、語学研究会、風水……誘われるまま色んなサークルに席を置いていた

「剣道に水泳も、スケートも?」

──体を鍛えるために無理矢理な。水泳は全くダメだが、剣道とスケートはまあまあ自信がある

「意外でした。スポーツは全くなさらないんだと思っていましたし、結城さんはセレブっていう感じもしないので」

──まあな。こんな身体だからな。財力があっても手に入らないものばかりだ

結城の自嘲混じりの笑みに、和泉はどう言葉を交わして良いのか判らず、運ばれてきた料理を口に入れた。

「美味しい。お肉、口の中でほどけてしまいますね。シチューもコクがあって」

──ここの人気メニューだ。バーニャカウダも野菜の種類が定評なんだ。……青汁を飲んでいる奴が言っても説得力はないな

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