君が笑ってくれるなら
俺は恵まれていたと思う。

編集部に配属された当初は、黒田さんにつけられ辛いと感じ悩みもした。

黒田さんは1から10まで丁寧に教えてくれる人ではなかった。

見よう見真似で必死で仕事を覚え、常に先を読み、どうすべきかを考えた。

「黒田、結城コンビ」と内外から注目されるようになるまで、何ヶ月もかからなかった。

「お前が新人に1から教えているのを観て、芽以沙が言っていたよ。『由樹は手が掛からなかった。何をするにもちゃんと勉強していて、常に完璧だった。由樹のような教え方は、私にはできない』と」

『俺は筆談だから、伝わらないことがたくさんあると思うんで、様子を見ながら教えているだけです』

「個人差に合わせマニュアル作ったり、添削したり、手取り足取り教えているだろ。わかりやすいと評判だ」

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