君が笑ってくれるなら
だが……そんな状態を誰れ彼れ構わず知られたくはない。

呼吸困難、息切れ、動悸、心臓発作を起こさないよう、食事制限も自己管理も徹底した上で、ひた隠しにしている。

そんな訳で自慢ではないが、俺は極度の虚弱体質だ。

満員のエレベーター、電車、バスには恐くて乗れない。

幾度か満員のエレベーターや電車の中で人混みに酔い、目眩と貧血を起こし、過呼吸になり倒れたことがある。

それがトラウマになっていて、パニックを起こすのが恐ろしい。

俺が担当している、ミステリー作家の西村嘉行、ハードボイルド作家の梅川百冬など、懇意にしている作家は、俺の事情を知ってもらった上で、担当を続けている。

ベストセラー作家、沢山江梨子は、アイデアや文章に行き詰まり、度々原稿を落としそうになる。


先輩編集部員、相田さんが1週間粘って1行も書けないこともある。

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