君が笑ってくれるなら
7章/どんなに思っても
ゆっくりした昼休みを過ごし、結城さんと店を出た。

店を出る前、結城さんは電話番号とメールアドレスを教えてくれた。

クリーニング袋のメモに気づいてくれたことが嬉しかった。

「ありがとうございます。おいしいランチご馳走さまでした」


――ゆっくりできたか?



「はい、とても」


――後処理が肝心だな。和泉、お前は「すみません」だけ言っていればいい


「結城さん!? いえ、そんな……そこまでして頂くのは申し訳ないです」


――サボりは最後までバレないようにやるのが鉄則


結城さんは澄まし顔で言って、わたしを車に押し込んだ。

社に戻り駐車場で車を降りると、結城さんは出ない声で「いいな」と、念を押す。


「でも……」


――体調がヤバかったから、俺がひと休みしたくてカフェ~に寄ったんだ。わかったな


結城さんが、そうメモを書いて、フッと微笑んだ顔に胸がキュッとした。

結城さんと会社ロビーを歩き、エレベーターで二人きり。


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