気になる彼への恋心


そう、いいわけがないのだ。

話したい話したいと思っていた彼。目で追い掛けていた彼。

多分、今ここが勇気を出す所なのだろう。


「勇気、出してみる……」

「そ、頑張って」

「うん……っ!」


ぐっと拳を握りながらもふらふらと足を動かす。目指すは自分の席。

彼が来るまで後数分。来たら挨拶だ。「おはよう」と言おう。「この間はごめんなさい」と謝ろう。

脳内でシミュレーションをしながら、彼が来るのを待った。

彼はどんな返しをするのだろう。と、まで想像していて、想像の世界に耽っていた。


「……おはよう」


そんな折に触ってきた声は、掠れた声。

間違うことはない彼の声。


「ごめんなさい!!!!!」



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