気になる彼への恋心


私はまた反射的に叫んでいた。今何回目かのシミュレーションで、謝る練習をしようとしていたところの為に出た言葉だ。

しかし、「おはよう」に対して「ごめんなさい」はない。

また二つ隣の席から吹き出す笑い声が聞こえる。


「うっ、あ、あの……!」


取り繕ろう為の言葉を探すも見つからない。恐る恐る彼に目を向けると、笑っているのか目を細めマスクで隠れた口元辺りを押さえている。

耳を済ませば微かな笑い声。


「へあ!?あ、あれ?」


驚いて出る変な声。


「何か、反応面白い」

「えっ!?い、いやぁ……」


彼の言葉に、誉められている訳ではないのに、嬉しくなる。

普通なら恥ずべき事なのに、だ。




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