気になる彼への恋心
メガネを掛けていなかった人がメガネを初めて掛けてきた日の物珍しさに近いと言えばいいのか、彼の場合マスクをしていない物珍しさの為に、色んな人に声を掛けられていた。
「マスクどうしたの?」とか「してないほうがいいじゃん」とか。
その度に彼は適当に、時には曖昧に返事を返している。
話を切り上げたい。話したくないと言わんばかりに手短に。
そんな彼に違和感を覚えるも、今度は話すのが怖くなった。
少し素っ気ないのはさすがに傷つく。
今日はもう、諦めよう。と言うか、放課後だし帰ろう。
と、机から教科書やノートを取り出して鞄に詰めていた矢先の事だった。
「あ、のさ……。悪いけどさっきのノート貸してくれない?明日返すから」
さっきの授業は奇しくも先週貸した教科と同じものだった。