気になる彼への恋心
素っ気ない、話すのが怖い。そう思っていたのに話しかけられている舞い上がる私はなんて単純なんだろうか。
鞄に入れたノートを引っ張り出して、先週と同じように両手でノートを持って差し出した。
「ど、どどどうぞ!」
「ありがと。……あ」
彼がノートに手を触れたとき思い出したように声を上げた。
口元に手を持っていき、ポツリと言う。
「明日、小テストだからノートいる、か」
そう言えばそうだ。確かに終りがけに先生が言っていた。
「ごめん。やっぱ、いい……」
けれど、
「よ、よかったら!今写してくれても……!!私、待ってる、から」
「え、いいの?藤堂さん急いでるのかと思ったんだけど」
「へあ!?全然大丈夫!」
どうやら、すごい形相で鞄に入れていたのを見られたらしい。仮に今日急いでいたとしても、それでも私は彼にノートを貸しただろう。
「じゃあ、お言葉に甘えて」