気になる彼への恋心
「わ、私がおごるよ!」
「いや、フツーは俺が奢らなきゃでしょ」
「で、でもそんなの申し訳ないし……!!!」
「また、国語のノート見せてくれたらそれでいいから」
「あんなのでよければ全然貸すけど……」
「はい、それでおっけー」
と、そんなやり取りをアイスクリーム屋の前まで来て、話して漸く買ったアイス。
正しくは買ってもらったアイス。
それを手に、私は彼と店の前にある公園のベンチで並んで座っていた。
もうすぐ、彼の顔も見えなくなる程に暗くなりそうな、そんな時間。
公園の街灯と貸すかに残る夕陽が頼り。
今、この瞬間、この時を忘れたくない。そんな必死な思いからか、私はボーッと前を向いてアイスを食べる彼の横顔を無意識の内に見ていた。
「っ!」
そんな視線に気づかれた私。
そんな視線に気づいた彼。
かくして、次なる反応は。
「っ~~!」
私と同じような反応だった。