気になる彼への恋心


最初は何が起きたか分からなかった。

前の席の彼が此方を向いている。此方の机に肩肘を置いている。ああ、腕が細くて血管が浮いている。それも素敵だな。

と、思ったとこで理解した。


「あの、藤堂さん」


彼が、ずっと話し掛けてみたかった彼が私に話掛けているのだ。

声は少し掠れ気味で、男友達と喋って居たときより幾分低く聞こえる。

それよりも


「え、あ、えっと!?」


自分の事だ。

私は軽くパニック状態に陥り、息が詰まる。

同時に心拍数も上昇して、体温もグングン上がる。

落ち着け、落ち着けと念じても効果がまるで見られない。


「あのさ、さっきの授業ちょっと見えないとこあったからノート見せてくれない?」

「な、何で、わた、わたし!?」


それどころか、反射的にまるで貸したくないかのようにも取れる言葉を返してしまう。

いつもなら、二つ返事で誰にでも貸すのに。


< 7 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop