気になる彼への恋心
その貸したノートは、放課後までには返ってきた。
「すごい見やすくて、助かった」
そんな嬉しい感想を言われて、普通なら頬が緩むけれど私はどうやっても、彼に話しかけられていると言う状態に緊張してしまって、うまく笑えない。
しかしながら、ここでどういたしましてと受けとれば、それで終了してしまう。
また、話す事がなくなる。今のうちに何とか仲良くなれる話をしなければとぐるぐる考えるも、何も出てこない。
でも早くしなければ突然話を振ってきた感じになり自然ではない。
猶予は5秒。と自分で謎ルールを絞り出して勢い任せに吐き出した。
「お、お礼に!アイス奢らせてください!!」
「……うん?」
「……へ?」
私が言った言葉に彼はおろか、私まで気の抜けた声を出してしまい、更には二個隣で聞き耳を立てていたのであろう友人が、私の意味不明な発言に吹き出して、笑っていた。
その瞬間、私の中で全ては終わった。