Hospital waste
それでも、コートニーは必要なナビゲートだけはしてくれる。

土地勘のない夜のバグダッドで、アレックスは迷う事なく軍の医療施設まで運転する事が出来たのだが。

「……」

ハンドルを握るアレックスが、神妙な面持ちになる。

先程まで場の空気を和ませようとしていた彼が、逆に重苦しくしている事に、コートニーは違和感を感じる。

「どうかしたの…?」

「…訊くんだが」

アレックスは運転しながら言った。

「この辺りの夜は、いつもこんなに静かなのか?」

「えっ?」

アレックスの質問の意味が、よく分からない。

アメリカの都市ほど建物が密集していないこの辺りは、いつもこの程度だと思うが…。

「静まり返っている…気味が悪い程に」

近付いてくる医療施設の建物を見ながら、アレックスは呟いた。

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