Hospital waste
医療機関ならば例外なく漂う薬品臭を掻き消すほどの、強い血の臭い。

だが薬莢や弾痕は見当たらない。

テロリストの類の襲撃を受けた訳ではないのか。

壁や床には、大量の血痕があるというのに。

慎重に、足音を立てないように廊下を進むコートニー。

その後に続くアレックスも、身のこなしはコートニーに引けを取らなかった。

物音を立てがちな、素人丸出しの足の運びではない。

戦場カメラマンや従軍記者で場数を踏んでいるというのも、あながち誇張ではないか。

コートニーは密かにその事に感心する。

足を引っ張らなければ、それでいい。

ただのジャーナリストに、戦闘のでのバックアップまで要求するつもりはない。

その点では、アレックスは及第点だった。

< 134 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop