Hospital waste
その後。

施設に残った遺体が、ベースキャンプの医療設備で解剖された。

焼却処理の為に著しく損傷していた遺体だが、それでも様々な事実が見えてくる。

あの生物は、人間の孔部を狙って襲い掛かり、そこから体内に侵入、内部から神経系や脳幹を支配し、文字通り寄生すると推測されているのだ。

解剖した遺体の中から、神経に融着したような状態の生物が発見されている。

「体内に侵入して…融着だと…?」

信じられないといった表情のマクナイトに。

「少佐は、カンディルという魚を知っていますか」

アレックスが言う。

ナマズの仲間でアマゾン川など南アメリカの熱帯地方に生息する肉食の淡水魚の種の総称。

カンディルは他の大型魚のエラから侵入して吸血したり、肉を食いちぎりながら体内に侵入する。

アンモニアの成分に反応する為、人間の尿道や膣などから内部に侵入し、危害を加える事もあるので、生息地の人々には毒針を持つ淡水エイと並び恐れられている。

体内にカンディルが侵入してしまった場合、カンディルは、食らいついた獲物から離れないよう、鰭に釣り針のような返しが付いており、体内に侵入されると手で引き離すのはまず不可能である。

この為、摘出する為には切開が必要である。

また体内から取り出せたとしても、感染症などによって命を落とす事もある。

また、カンディルは性質も獰猛であり、ピラニアは基本的に人間などの大型動物を自ら襲う事は少ないが、カンディルの場合は自分より大きな獲物でも集団で襲うといった特徴がある。

エラや排泄孔から侵入するだけでなく、皮膚に噛み付いて直接穴を開ける種もいるという。

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