Hospital waste
無機質な丸い黒目で、アレックスを見るカラス。

その大きさと相俟って、どこか恐怖さえ感じさせられてしまう。

これはまずい。

アレックスが反射的に踵を返そうとしたのとほぼ同時に、カラスはその大きな翼で舞い上がって接近してきた!

けたたましく鳴き声を上げながら、空中から鋭い爪で引っ掻いてくる!

時には最大の武器である嘴で啄む。

両腕で防御するアレックスだが、筋肉に覆われた彼の腕でも、刃物のようなカラスの爪と嘴は防ぎ切れない。

無数の傷が刻まれ、血が細い筋を作る。

とても素手で対抗できる相手ではなかった。

アレックスは咄嗟に、大腿部のホルダーに収納されたナイフを引き抜いた。

刃幅、刃渡り共に、普通のナイフより遥かに大きい代物。

そのナイフを、空中のカラス目掛けて大きく一薙ぎする!

的が大きいので命中も容易かった。

ナイフはカラスの片足を容易に切断する。

先程までの攻撃的な鳴き声とは一転、悲鳴を上げるカラス。

効果がありそうだ。

アレックスは闇雲にナイフを振るい、カラスを牽制。

距離をとろうと奮戦する。

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