Hospital waste
やがて、片足を失った事で戦意喪失したのか。

異常に攻撃的だったワタリガラスも、遂にはアレックス襲撃を諦めて飛び去っていく。

「……」

ふぅふぅと呼吸を荒げながら、彼はナイフをホルダーに収めた。

取材中、山中に迷い込んで野犬に襲われた事はあるが、あんなにでかいカラスに襲われたのは初めてだ。

眼球でも抉られたら一大事だったろう。

カメラのファインダーを覗けなくなったらどうしてくれるんだ。

そんな事を思いながら、アレックスは腕の傷を見る。

血は出ているが、幸い動くし深手もない。

放っておいても大丈夫そうだった。

そんな事より。

彼は先程までカラスのいたゴミ置き場へと近付いて行く。

一体何が捨ててあるんだ?

あの突然変異のようなでかいカラスは、ここのゴミを食った事が原因なのか? 

ハンディカムを取り出して撮影しながら、アレックスはゴミ置き場を探る。

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