Hospital waste
壁沿いに歩いていく事、数分。

目の前の暗闇にボンヤリと、鈍く光る鉄格子が現れる。

これがシエラの言っていた鉄格子だ。

確かに鉄格子の向こうには、階段がある。

「病室に閉じ込められていて、何で鉄格子がある事を知っていた?」

「私が連れて来られる時にここを通ったもの」

シエラの話によると、ここは5階なのだという。

成程、そうなると1階までこんな調子で鉄格子が歓迎してくれるのかもしれない。

まさに病院ではなく刑務所だ。

気が滅入る。

とりあえず、先程シエラから貰ったヘアピンを使い、ここの施錠も開ける事にする。

鉄格子の前に、アレックスがしゃがみ込んだ時だった。

「ア、アレックス!」

背後のシエラが、乱暴にアレックスの背中を叩いた。

「待て、そんなにすぐには開かない」

「アレックス!アレックスってば!」

「せっかちだな、もう少し待てないのか」

迷惑そうに振り向いて。

< 29 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop