Hospital waste
Hunting
ヒタヒタと、足音を立てて近付いてくる四足歩行の獣。

その眼光だけが闇の中で光る。

「何なの、ねぇあれ何なの?」

アレックスの腕を揺さぶりながら、頻りに問い掛けるシエラ。

その問いかけに、アレックスは答える事はなかった。

彼にも分からないからだ。

暗闇の中に浮かび上がるシルエットは、猫のように見える。

しなやかな体の動きや足運びは、街中でよく見かける野良猫のそれだ。

しかし、その体躯の大きさは明らかに猫ではない。

どこに2メートル近い猫が存在するのか。

シルエットは猫だが、その体長から判断すると、虎のような猫科の肉食獣と考えるのが妥当だった。

だが。

「っ!」

獣が近付いてくるにつれて、その判断すら間違っているとアレックスは知らされる。

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