Hospital waste
考えている暇すらなく。

「っ!」

獣はアレックス達に向かって咆哮を上げた。

醜い容姿に違わぬ、身の毛もよだつような鳴き声。

闇の中で、引き攣れた顔が向けられる。

同時に、獣はアレックス達に猛然と突っ込んできた!

歪んだ骨格を持っていながら、動きは獣らしく俊敏。

瞬く間に接近してきて、前脚の鋭い爪でアレックス達を引き裂こうとする!

「シエラ!」

咄嗟にシエラの手を引いて、その場から飛び退くアレックス。

転倒して廊下を滑る。

獣はというと、鉄格子に激突して大きな音を立てていた。

それでも怯む様子はない。

何事もなかったかのように向き直ると、再びアレックス達に狙いを定める。

恐ろしく頑丈な体だ。

あんな太い鉄格子が、僅かに歪むほどの勢いで激突したというのに。

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