Hospital waste
この5階フロアは思っていたよりも広いらしく、アレックス達が必死になって走っても、突き当たりに出くわす事はなかった。

しかし、下のフロアに向かう階段もまた存在しない。

やはり鉄格子向こうのあの階段しかないという事か。

だとしたら、アレックス達は延々とこのフロアで、あの獣に追われ続けなければならない。

窓もあるにはあったが、どこも鉄格子で塞がれている。

とても外には出られそうにない。

出られた所でここは5階だ。

どうやって下に下りるというのか。

「アレックスッ、もうっ、もう駄目っ…!」

ゼェゼェと息をしながらシエラが訴える。

今にも止まりそうなシエラの足。

確かに限界が近い。

振り向くと、対照的に無尽蔵の体力であるかのように疾走してくる獣。

牙がせり出しているせいで上手く口が閉じられないのか、粘ついた涎をだらしなく垂らしながら、執拗にアレックス達を追跡してくる。

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