Hospital waste
長い下水道。

疲労が蓄積してきたのか、二人とも会話も交わさず歩く。

だがその中で。

「この病院、どうかしてるよね」

シエラがポツリと呟いた。

「あんな獣だったり気持ち悪い男だったり…あれって、普通じゃないよね。絶対何かされてるよね、アイツら」

「恐らくな」

真っ直ぐ前を見たまま、アレックスは返答した。

「薬物投与や移植手術…動物実験や人体実験の類だろう。病院とは名ばかりで、ここは実験場なのかもしれん」

バックパッカーのシエラや、ジャーナリストのアレックスが拉致されたのも、もしかしたら口封じと実験体を兼ねたものだったのかもしれない。

この病院のある田舎町も、病院の所業にはとうの昔に気付いていたのだろう。

気付いていながら、警察に通報すれば報復が怖い。

その為、余所者に関わらずにいる事が精一杯だったのではないか。

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