線香花火
「……私ね、久遠君が好きだって言ったでしょ?」


『うん』


確かに言った

入学式の日

久遠君に一目惚れしたと


「それでね、久遠君が他の女の子と話してるところ見ると

すっごく嫌な気持ちになっちゃって

…これを…嫉妬、って言うんだよね


久遠君は私の何でもないのに

最低だよね、私……」


まゆちゃん…………

でも……


『それが普通なんじゃないかな……?』


「…え?」


赤い目をきょとんとさせて私を見たまゆちゃん


『昔、皆の恋バナを聞いてまわってた時にさ、

好きな人が他の女の子と話してるの見ると

嫉妬するって皆言ってたよね?

だから…』


一度息を吐いて

もう一度吸ってから続けた


『まゆちゃんのその気持ちは

本当の恋をしてる証拠だと思うよ』
< 27 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop