線香花火
「…さん……香咲さん!危ない!」


『え?…きゃっ!?』


パアァァァ


はっと我に返ると


クラクションを鳴らしながら走り去っていく車が見えた

そして誰かに腕を強く引っ張られている感覚

振り返ると…


「はぁ…はぁ……間に合った……」


息を切らしている空海君

その手はしっかりと私の腕を掴んでいた


『…空海君、どうしt「もう少しで轢かれるところだったんだぞ!?」


え……

私の言葉を遮り怒鳴った空海君

空海君の怒った姿を初めて見た



そして次の瞬間


私を抱きしめた


強く、けれど優しく私を抱きしめる温かい腕


「死ぬかと思った………本当に……気を付けてよ……」


少し震えているような声に



私は動揺を隠せなかった
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