線香花火
チクッ

また胸が痛む


“ 空海君から離れて ”

そんな思いが心の中で渦巻いている

なんだろう、この気持ちは


空海君、無理だと言って

じゃないと私が……


おかしくなってしまう気がするの...



しかしその思いは空海君に届くはずもなく


「いいよ」

「やったぁ ありがとぉ♡」

空海君は愛深莉さんと帰ることになってしまった


そんな……

下唇を噛んだその時


愛深莉さんがふとこちらを振り返った

その目は確かに私を見ている


え……気付いていたの...?

それならどうして……


すると愛深莉さんは

私をまるで品定めするかのように下から見上げていった

そして目が合うと


“ ざんねんでした ”

そう確かに口パクで言ったんだ


私を見下すような目で
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