線香花火
ゆっくり深呼吸をする


そして

『...私ね───』

私は拓也君にさっきの出来事を話した


拓也君はずっと

黙って聞いていてくれた




話し終えると

拓也君は何やら考え込むような仕草をし


「……香咲はさ

その時どんな気持ちだった?」

ぽつりと私にそう問いかけてきた


どんな……気持ち…………


『最初...愛深莉さんが現れた時は驚いて


でも愛深莉さんが空海君の腕に抱き着いたり

空海君のことを呼び捨てしてるところを見て

すっごく嫌な気持ちになった


空海君と仲良くしないでって

私の方が空海君のこと好きなのにって……ぇ……?』


あの時の気持ちを考えているうちに

口が勝手に動き出して

いつの間にか私は

空海君が好きだと言っていた
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