ブルーウィンズ~ラブソング嫌いなボーカリスト~



“あたしは今は全然弾いてないんだからしょうがないじゃん!”



って逆ギレもしたくなるけど、今はもうショックの打撃が凄くて



怒りより哀しい気持ちの方が強くて、あたしはみんなから視線を外して俯いた。



「けど、結愛のアレンジの仕方は気に入った。



それから結愛の音感も、誰もが習得できることではないから認めてやる。



だから……俺たちのバンドに……



結愛も入れよ」



顔を再び上げると、湊くんはいつものように不愛想だったけどいつものような嫌そうな感じには見えなかった。



あたしはというと湊くんの言葉を聞いて、思わず目頭が熱くなって涙が出そうになってしまった。


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