ブルーウィンズ~ラブソング嫌いなボーカリスト~
図書室や屋上、1年生の教室、彼のいそうなところは階段を駆け下りたり、上ったり、走ったりしながら探し続ける。
息切れをして休みたいけど、休んでいる間にも湊くんが家に帰っちゃったら嫌だから走るのをやめたくない。
どこにいるの?
だってあたしたちの音楽聞いてくれてたでしょ?
もうあたしが意地張って、湊くんが自分から帰ってきてくれるまでみんなは連れ戻しちゃだめって言ったけど
湊くんはこのバンドに絶対必要で、大事な存在だから
お願いだから帰ってきてほしい。
でも走り続けても、走り続けても、湊くんに会えないのは現実。
「なんでいないの……」
あたしは視界に入ってきた非常階段を見て、もうその階段を使って第二音楽室に戻ろうと決めた。