ブルーウィンズ~ラブソング嫌いなボーカリスト~
「そんなこと言われたって俺はずっとここにいて聴いてたし。
本当お前はシケた顔したり、泣いたり忙しい奴だな」
なんて言いながら湊くんはあたしの頭を撫でてくる。
優しく、そして言葉にはしないけど「早く泣き止めよ」とでも言うような表情をして。
「そんなこと言われたって……。ここにいたなんて全然知らなかったもん。
……教えてもくれなかったじゃん!
5人で初披露した日だって、次の日いきなりいなくなっちゃうし」
ちょっと頬を膨らませて対抗する。
そう言うと湊くんはあたしの頭を撫でるのやめて手をおろした。
「………かったな」