ブルーウィンズ~ラブソング嫌いなボーカリスト~
非常階段をそのまま降りて行こうとする湊くん。
「ちょっと待ってよ。あたし、まだ話全然終わってないよ!」
そう言って、ガシっと湊くんの右腕を掴んだ。
「なんだよ。俺からは何もねぇんだから別に帰ってもいいだろ」
「そうじゃなくて、あたしが話があるから聞いて欲しいの!」
そう言って湊くんの目を見つめて、訴える。
ここで引き下がるわけにはいかない。
もう緊張してる場合じゃない。ちゃんと気持ちを伝えないと。
「……早くしろよ。くだらない内容だったら帰るからな」
一度溜め息を吐いた湊くん。
あたしは湊くんの腕を掴んだまま話を始めた。