ブルーウィンズ~ラブソング嫌いなボーカリスト~
今度は上の階に行こうとする湊くん。
一緒に第二音楽室に行ってくれるんだ。
ってことは、またバンドに帰ってきてくれる!!
「うん!」
湊くんは返事を聞くと、あたしがスッと何もなかったかのように手を掴んだ。
「手……」
反射的に声に出すと、湊くんは少し照れた表情になっていた。
「だったら離すぞ」
「やだやだ!絶対離さないで!」
あたしは湊くんの手を握り返して、一緒に音楽室の階までの階段を駆け上ったんだ。
上りながら、湊くんは『嘘ついたから、しばらく“好き”だなんて絶対言ってやんないから』と言っていたずらな笑みを浮かべて。