ブルーウィンズ~ラブソング嫌いなボーカリスト~
Chapter 6 「…誰が逃がすかよ」
次の週。待ちに待った金曜日。
先週、ブルーウィンズのみんなはデモテープをくれて、あたしが部活を見学しに来ることを
快く許可してくれたのに結局一度も観に行くことができなかった。
最初の何日かは帰りのホームルームの先生の話を聞きながら
"今日、第2音楽室に顔出してみよっかな?"
なんて思ってたりしたけど、いつも帰っている美紀に
どうやって一緒に帰れないって言おう
第2音楽室に入る時吹奏楽部の人とかに見られちゃったらどうしよう
後は祐くんとかに『あんなの社交辞令、嘘に決まってるじゃないですか!』って言われたらどうしよう
とかもう頭の中には悩みの種でいっぱいで、考えなくていいことまで考えてしまってあたしは結局1度も第2音楽室に行くことなく逃げる道を取ってしまっていた。