ブルーウィンズ~ラブソング嫌いなボーカリスト~



だけど、今日は躊躇しないで行ける。



「みんなが聞きに行ける日だもん!」



美紀ももちろん行くだろうし、周りの人たちに紛れちゃえば全然平気。



毎日聴いているデモテープじゃ足りない。



思わず鼻歌が出てきそうなくらい、先週から楽しみにしていた今日の日。



やっぱり毎日聴いていて、欲張りかもしれないけど生で聴きたい。



前回は後ろの方にいてもバレたから、今度は背の高い人の後ろにでも隠れていようかな?



「結愛、掃除終わったよ!早くー!16時まであとちょっとだよ!」



とバタバタ廊下を走ってきたのにも関わらず息切れ一つせずにあたしに声を掛けてきた美紀。



彼女のブルーウィンズへの執念は本当にすごい。



ファン初心者のあたしはとてもじゃないけど真似できないや。



そして美紀の背中を追って、第二音楽室までダッシュした。


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