油断は大得?!
きっかけ
もう!…卵安いからってワザワザ寄ったのに…。それが…売切れって。……はぁ。
仕方ないから渋々高いの買って…、おまけに余計なものまで買ってしまった…、ってこれは自分の意思が弱いだけなんだけどね。
なんてブツブツ周りに聞こえてしまいそうな独り言。
買い物する時間も結局長くなったからスーパーの出口で時間を確認した。
良かった。直己の帰宅予定にはまだ時間は充分ある。
急がなくっちゃ…。
小走りに出た私が悪かった。
歩みを始めた途端。
ドンッ。
いきなり誰かとぶつかってしまった。
カシャカシャって…、嫌な音がした。割れちゃったな…。
でも‥悪いのは私。
「ごめんなさい、大丈夫ですか?」
…ここで顔を上げたら、上から見下ろしているのは“長身、イケメン"…って、ドラマでは相場が決まってるんだけど…。
「いや、コッチも前見て無かったから」
声は低音で良い感じ!
…で、見上げた先は…。
あっ。
心で小さくガッツポーズ!……ドラマみたいかも…。
たまにはラッキーな事に遭遇しても、バチ当たらないよね?
「…あの、大丈夫?」
「あ、は、はい。大丈夫です」
手を取って、しゃがんだままの私を立ち上がらせてくれた。
「…ごめん、怪我とか無いかな?
大丈夫だったら…、急いでるから、ごめん」
「あっ…」
もう行ってしまうの?
余程急いでいるのだろう。直ぐに姿は見えなくなった。
まあ、こんなモノよね普通は。
流石にドラマみたいな出会いもここまでか…。
っと、急がないと。
何個か割れてるはずだけど帰ってから確認しよ!
私はまた小走りで帰りを急いだ。
< 1 / 46 >