油断は大得?!
夕凪は罠
「ねえ、直己。私、女湯入って来ていい?」
「ああ、折角なんだから行って来いよ。
俺は男湯、朝行って見るよ。あ、女湯入っても、また後で此処の風呂一緒に入るからな?あんまり長湯するなよ?」
「…うん」
ひぇ〜。湯あたりしないようにしないと…。
案内図と着替えを準備した。
「じゃあ、行ってくるね」
部屋を出た。
離れを出て、別館へと続く廊下を歩いた。
…どう歩いても迷いようのない通路。…のはず。
でも、今の私は現在地が解らない。…。
えー、何で?でもどうしたら?間違ってないよね…。反対向きに見てるの?
案内図をぐるぐる回して見た。
桔梗の部屋は書かれているが、他の離れの部屋は部屋名さえ記入されていない。
まあ、プライバシーの問題があるからだと思うけど。これ……回したせいでよく解らなくなっちゃった。
ん゙ー。
「お困りのようですね?」
不意に声を掛けられた。
「あっ…。あの、女湯に、夕凪に行きたいのですが、…あろう事か迷ってしまいました。…恥ずかしいです」
「大丈夫です。私がご案内致しましょう」
先にたって案内してくれた。
何気なくネームプレートに目がいった。
…確かに。【一之瀬】と書いてある。
「さあ、どうぞ。着きましたよ」
「あ、あの…」
「お帰りは、こっちを上に見て、真っ直ぐ、解りますね?」
「あ、はい。あの、私…」
「フラフラ歩いてんじゃないぞ…」
「え?」