油断は大得?!


庭先から慌てて部屋に戻った。
直己が起きているかも知れない。居ないと心配する。

…何も無い。無かった。
でも、変な罪悪感が芽生えてる。抱きしめられたから…。直己が知らないから。

ドキドキしてるから?このドキドキ、これが罪悪感?


直己の様子を窺った。
背中を向けているが寝ているようだった。
1時間は過ぎていたが、まだ起こさず寝かせておこうと思った。


俺は起きていた…。
襖からソッと覗く美波から、ほんのりと支配人の香水の香りが漂って来た。

2時間経った。

「直己?…直己?」

そっと声を掛けてみた。

「ん、んん、…あぁ、美波か。…なんだ、…寝すぎたなあ、…よく寝た」

欠伸をしながら伸びをした。…寝ていた体だ。

「さて、と。じゃ、…風呂入るとするか」

私は少し身構えた。
あれ?直己は誘って来なかった。
一人で入って行った。


「直己?入るよ?寝起きだし。
水、飲んだ方がいいよ?」

小さめのペットボトルを渡した。

「サンキュー…、そうだな、危うく死ぬところだった…」

「もう、大袈裟過ぎる。でも脱水は気をつけないとね」

「…美波」

いきなり腕を引っ張られて、浴衣のまま浴槽に引き込まれた。

「キャーッ、直己!…なにするの」

バ、シャーン。波が立った。
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