油断は大得?!
「アハハ、悪い、悪い」
美波、お前が悪い。そんな香り…付けてるお前が悪い。
「どうせ脱ぐんだから…」
「キャッ、直己。嫌…ちょっと、止めて」
直己は濡れた帯を力任せに強引に解き、浴衣を開けさせると、下着も強引に剥ぎ取った。
裸にされた身体を浴槽の中で抱きしめられた。
…美波…、美波。
「…直己?」
「ふぅ…、あれだな…。時代劇の悪代官?。
町娘の着ている着物の帯を、良いではないか、とか言って、乱心するやつ…」
「…んもう、何、…もう。そんなの嫌なんですけど…」
驚いた。
「ああ、俺も嫌だ。
…ご乱心したやつに取られるのはごめんだ」
「……直己?」
「上がるぞ…汗流す程度で充分だろ…」
抱き上げられて浴槽から出た。
流石に畳を濡らす訳にはいかないから、直己は先に体を軽く拭いて、腰にタオルを巻き、私にバスタオルを巻き付けると、また抱き上げた。運ばれた。
「…直己?歩けるよ?」
ずっと離されないことにドキドキした。
「最近俺はヤキモチばっかりだな…。何か試されてんのかな…」
あ、何だか…おかしい。何か気がついてる?
「直己…、あのね…」
言ってた方がいい。
「何でも無いんだろ?あいつが例のドラマ野郎か…」
「…直己」
「美波…、俺の事、好きか?」
「直己…、好きだよ…」
首に回した腕を更にきつくして、首筋に顔を埋めた。好きに決まってる。
「はぁ、美波…、なら問題無い」
襖を開けゆっくり下ろされた。
「…美波。俺今回は残念だけど、朝風呂、朝霧は諦めるよ。お前と一緒に居る方が大事だから」
明かりが消された。
昇った月の弱い光が障子を通して部屋をほんのりと白くさせた。
私は直己に身を委ねた…。